自画像って、何も正確に顔を模写することだけじゃないと思う。
自分が自分たる要素を抽出して、紙面に起こせたらどんなに素敵だろう。
絵具をパレットに置いて、水を混ぜて色の元を配合する。ここでは水を多めに。
敬愛するS先生から何度も薄いと言われたタッチ。
デッサンだと薄っぺらくなるけれど、水彩画の淡さとは相性がいい。
自画像を描くなら、水彩しかないと思った。
キャンバスに筆を走らせる。あまり寝かせたくない。筆先が少し傾く程度が好きだ。
真っ白な紙面に色が踊った。
だんだんと脳内の設計図が輪郭をもって浮き出てくる。
あの高揚感は何者にも変え難い。
ああ!!絵が描きたい!!!
“部活”という大義名分がなければ筆を握る事すら叶わない。
絵が!!描きたい!!!!!
アイデア用紙はどんどん溜まってく。
こんなん全部描けないわ....
勉強は好きだけど受験は嫌い。
表現が許されない受験なんて嫌いだ。
どんなに嫌いでも志望校に滑り込むためには一瞬の緩みも赦されない。
今握るべきなのは絵筆じゃなくBのシャーペンだ。
ああ〜絵が描きたい。
全て終わったらまず絵を書こう。